2024年3月定例会 一般質問|市役所のデジタル化、奥入瀬渓流温泉の将来、学校給食費の無償化に向けて

2026年11月2日

暮らしの利便性を高め、地域の資源を守り、子育てしやすい十和田市へ

2024年3月の十和田市議会第1回定例会では、「行政のデジタル化」「温泉事業」「学校給食費の無償化」について一般質問を行いました。

人口減少や少子高齢化が進む中、行政サービスの利便性向上、地域の産業を支える施設の維持、子育て世帯の経済的な負担軽減は、いずれも重要な課題です。

今回は、既に行われている取組を確認するだけでなく、市民の暮らしにどのような変化が生まれるのか、費用に見合った効果が期待できるのか、よりよい方法はないのかという視点から再質問を重ねました。

今回の一般質問で確認できた成果と前進

① 市役所の窓口改善が具体的な予算案に
市公式LINEなどの既存の取組に加え、書かない窓口やキャッシュレスセルフレジの導入、ガバメントクラウドへの移行について、新年度予算案に必要な経費が計上されていることを確認しました。

② 誰も取り残さないデジタル化を要望
職員のデジタル人材育成や情報セキュリティー対策、市民向けスマートフォン講習の実施状況を確認し、高齢者などへの支援の充実を求めました。

③ 温泉掘削を断念した理由を具体的に確認
2年間で5,280万円を投じた調査について、複数の温泉井を掘れば湯量を確保できるのではないかと再質問し、源泉同士の相互干渉など、断念に至った技術的な理由を明らかにしました。

④ 約22億6,000万円の引湯管更新計画を検証
更新ルートの選定理由、費用の抑制、温泉事業の収支、関連施設の維持管理まで確認し、長期的な事業運営を考える必要性を提起しました。

⑤ 学校給食費の無償化に向けた方針を確認
市から2024年10月に無償化を実施したいとの答弁があり、食材費高騰への市の支援や県交付金との関係まで確認しました。その後、6月定例会で無償化が可決されました。

【行政DX】市民にも職員にも使いやすい市役所を目指して

1.市役所のデジタル化を、暮らしの利便性向上につなげる

人口減少が進む中、市役所でも限られた職員数で行政サービスを維持し、その質を高めていくことが求められています。

デジタル技術は、業務を効率化するだけでなく、市民が手続にかける時間や負担を減らすことにもつながります。

そこで、十和田市DX推進ビジョンに基づく取組の進捗と、今後の展望について質問しました。

市長からは、住民票などのコンビニ交付、市公式LINEアカウントの導入、YouTube公式チャンネルによる情報発信、市内事業者へのデジタル化導入支援などに取り組んできたとの答弁がありました。

また、2024年度の当初予算案には、書かない窓口やキャッシュレスセルフレジの導入、ガバメントクラウドへの移行に必要な経費を計上したことが示されました。

市役所の手続を便利にするための取組が、具体的な予算案に位置づけられたことを確認できました。

私が大切だと考えているのは、デジタル技術を導入すること自体ではなく、それによって市民の暮らしがどれだけ便利になるかということです。

窓口で何度も同じことを書かずに済むこと、必要な情報をスマートフォンで確認できること、手続が円滑になること。そうした身近な改善を積み重ねることが重要だと考えています。

2.ガバメントクラウドへの移行と費用対効果を確認

国が進めるガバメントクラウドは、住民基本台帳や税、国民健康保険などの自治体業務システムについて、国が整備する共通の基盤を活用する仕組みです。

市からは、サーバーなどの機器にかかる経費の削減、高度なセキュリティー環境の確保、システム調達の迅速化などが期待されるとの説明がありました。

再質問では、十和田市の移行状況を確認しました。

市は当時、市民課や税務課などで使用する20業務のシステムについて、2025年度末までの移行に向けて作業を進めていました。

そのうち住民記録や税情報システムについては、デジタル庁の早期移行団体検証事業に採択され、先行して移行を進める方針が説明されました。

さらに移行後の活用について質問したところ、市からは国の動向や費用対効果を検証しながら、具体的な活用方法を検討するとの答弁がありました。

システムの導入には費用がかかります。期待される経費削減や業務改善が実際に得られるか、継続して確認することが必要です。

3.デジタル化を支える職員の育成と情報セキュリティー

デジタル化が進むほど、システムを安全に使いこなす職員の知識と技術が重要になります。

そこで、職員の情報セキュリティー対策について質問しました。

市からは、情報セキュリティーポリシーに基づき、職員研修や各課の実地監査を定期的に実施し、必要に応じて指導しているとの答弁がありました。

さらに、デジタル人材の確保と育成についても質問しました。

市は、DXや業務の自動化に用いるRPAの作成など、職員向けの研修を実施しており、今後も県などの研修を活用しながら人材育成に努めるとの答弁でした。

私は、外部から専門人材を確保する方法だけでなく、現在の職員を育てることにも力を入れる必要があると考えています。

国や県の制度を活用しながら、限られた人員の中でもデジタル技術を活用できる体制づくりを求めました。

4.高齢者も安心して利用できるデジタルサービスへ

行政のデジタル化を進める際に忘れてはならないのが、デジタル機器の操作に不慣れな方への配慮です。

便利な制度が増えても、使い方がわからず利用できない方がいれば、かえって情報格差が生まれるおそれがあります。

そこで、高齢者などを対象としたスマートフォンの使い方に関する支援について質問しました。

市からは、ふるさと出前きらめき講座でスマートフォンの基本的な使い方を教えており、2024年2月末時点で約193人が利用したとの答弁がありました。

私は、こうした講習をさらに充実させるとともに、高齢者だけでなく、若い世代も含めて情報を安全に扱う力を育てることが必要だと考えています。

デジタル化の目的は、使える人だけを便利にすることではありません。誰も取り残さず、すべての市民が必要な行政サービスを利用できることが大切です。

【温泉事業】奥入瀬渓流温泉地区の未来を支えるために

5.5,280万円を投じた新規掘削調査。その結果と判断を検証

奥入瀬渓流温泉地区の温泉は、地域住民の暮らしや宿泊施設などの観光事業を支える大切な資源です。

しかし、既存の温泉施設の老朽化や引湯管の更新など、将来に向けて大きな課題を抱えています。

今回の議会では、湯ノ台地区で行われた新規温泉掘削候補地の調査結果と、事業を断念することになった理由を質問しました。

市の答弁では、調査費用は2022年度が3,135万円、2023年度が2,145万円で、2年間の合計は5,280万円だったことが明らかになりました。

調査では、地下約1,500メートル付近で65.6度の温泉兆候が確認されましたが、見込まれる湯量は毎分230リットル程度で、必要とする毎分1,000リットルには達しない結果となりました。

市は、複数の井戸を掘削しても必要な湯量を確保する条件に合致しない可能性が高いと判断し、新規掘削事業を断念したと説明しました。

再質問で、複数の温泉井を掘削できない理由を明確に

私が疑問に感じたのは、1本で毎分230リットルが見込めるのであれば、複数の温泉井を掘削することで必要な湯量を確保できないのかということでした。

そこで、なぜ3本以上の掘削が難しいのか、改めて詳しい説明を求めました。

市からは、深い地層で複数の井戸を掘ると、源泉同士が影響し合い、湯量や温度が低下する可能性があるとの説明がありました。

このため、1本目を掘削した後に再度調査と解析を行い、他の温泉井への影響がないと判断されなければ、追加掘削は難しいということでした。

また、深部の調査には長期間と追加費用を要することも、事業を断念した理由として説明されました。

再質問によって、単に「湯量が足りなかった」という説明だけではわからなかった、技術的な理由や追加投資のリスクを具体的に確認できました。

多額の費用を投じた調査については、その判断に至った理由を市民にもわかりやすく説明し、今後の事業に経験を生かしていくことが重要だと考えています。

6.約22億6,000万円の引湯管更新計画。将来の負担を考える

新規掘削を断念した一方、市では、既存の温泉を安定して供給するため、老朽化した引湯管の更新事業を進める方針が示されていました。

当時の更新計画で示された事業費は、約22億6,000万円です。

市は、青撫山バイパスの整備に伴って奥入瀬渓流沿いの交通環境が変わる中、焼山地区が観光客の滞在拠点として重要性を増すと考えており、その機能を維持するために温泉が必要だと説明しました。

私も、温泉は地域住民の暮らしや観光事業、そして新たな移住や創業の可能性を支える大切な資源だと考えています。

しかし、必要な事業だからこそ、巨額の更新費用をできるだけ抑え、将来も維持できる仕組みを考えることが重要です。

維持管理しやすい道路沿いのルートは選べないのか

再質問では、引湯管を山林の中ではなく、県道などの道路沿いに埋設することで、今後の点検や修繕をしやすくできないかと提案しました。

これに対し、市からは、道路沿いへの迂回ルートも検討したものの、管の延長が長くなること、上り勾配でポンプが必要になること、国立公園内で新たな樹木の伐採が難しいこと、自然流下に必要な勾配を確保できない場所があることなどが説明されました。

そのため、既存ルートで更新する計画になったとのことでした。

道路沿いへの変更にも課題があることがわかりましたが、事業費だけでなく、完成後の維持管理費や修繕のしやすさも含めた長期的な判断が必要です。

7.温泉事業を持続可能にする経営のあり方を確認

引湯管の更新費用を抑えることや、温泉事業の収入を確保することについても質問しました。

市の答弁では、温泉運営委員会で、源泉の水蒸気を利用したバイナリー発電や、温泉水を利用した養殖など、新たな収益事業の可能性が意見として出されていたことが紹介されました。

ただし、湯量や温度などの条件から、どの程度の事業効果が見込めるのかを検討する必要があるとの説明でした。

また、市からは、温泉供給量のおよそ9割を事業者が利用している状況を踏まえ、経営の安定化に向けて温泉使用料の改定なども検討する必要があるとの考えが示されました。

収入を確保することは大切ですが、使用料の改定が観光事業者の経営や地域の暮らしに与える影響も考慮しなければなりません。

私は、既存の利用者の負担を考えることに加え、地域への移住や新たな創業を促し、温泉の利用者を増やしていくことも重要だと考えています。

議会では、温泉付き住宅の開発など、地域で検討されている案にも触れ、観光と暮らしの両面から地域の可能性を広げる必要性を訴えました。

老朽化した温泉排水槽の安全性も確認

さらに、引湯管の更新計画に関連して、温泉排水槽の老朽化についても質問しました。

市からは、毎年、定期的な清掃と点検を行っており、業者から問題はないと報告されているため、現時点では更新せず維持管理に努めるとの答弁がありました。

大規模な施設更新だけでなく、関連施設の状態も確認しながら、温泉を安全に供給できる環境を維持することが必要です。

【子育て支援】学校給食費の無償化に向けた市の方針を確認

8.学校給食費の無償化を2024年10月から実施する方針

子育て世帯にとって、学校給食費は毎月の家計に関わる大きな支出の一つです。

青森県は2024年度の当初予算案で、学校給食費の無償化を進めるための市町村交付金制度を示しました。

そこで、市長の考えと、十和田市における無償化の実施時期について質問しました。

市からは、県の方針に足並みをそろえ、2024年10月から小中学校の学校給食費を無償化したいとの答弁がありました。

さらに、再質問では、無償化に必要な費用や県の交付金と市の負担の関係について確認しました。

9.給食費と市独自の食材費支援を詳しく確認

当時、県が設定していた給食費の基準単価は、小学校1食280円、中学校1食310円でした。

私は、十和田市の給食費がこの基準と同じなのか、違いがあるのであればどの程度なのかを確認しました。

教育部長の答弁では、保護者から徴収する給食費は小学校260円、中学校290円で、食材費の高騰に対応するため、市がそれぞれ20円を負担しているとの説明がありました。

その結果、実際には小学校280円、中学校310円相当の給食を提供しているとのことでした。

つまり、十和田市では、給食費無償化の方針が示される前から、食材費の値上がり分を市が負担し、保護者の負担を抑える取組が行われていたことを確認できました。

市長からは、この市独自の20円負担分についても県の交付金の対象となるのか、県との調整が必要であるとの説明がありました。

無償化を実施するに当たっては、保護者の負担軽減だけでなく、市の財政負担や制度の継続性についても丁寧に考える必要があります。

10.地産地消と食育を大切にした学校給食を

学校給食は、子どもたちの健康を支えるだけでなく、食を通して地域の農業や文化を学ぶ大切な機会でもあります。

私は、給食費の無償化を進める中でも、これまでの地産地消への取組を大切にしてほしいと要望しました。

地域で育てられた食材に触れることは、子どもたちが地元の農業を知り、ふるさとへの理解や愛着を深めることにもつながると考えています。

また、三本木高等学校附属中学校についても無償化の対象となるのか質問しました。

市からは、県立中学校のため県が独自に対応する方針であることが説明されました。一方、当時は給食を提供していなかったため、具体的な実施方法について市は把握していないとのことでした。

子どもたちの学ぶ環境によって支援に差が生じないよう、関係機関の連携も重要だと考えています。

子育て支援を、十和田市の暮らしやすさにつなげる

再質問の最後には、学校給食費の無償化だけでなく、十和田市がこれまで実施してきた子育て支援の取組も、市民や市外の方々へ積極的に伝えていく必要があると提案しました。

これに対し、市長からは、2024年度の子ども・子育て分野の重点事業として、新規事業5件、継続事業5件に取り組む方針が示されました。

その中には、18歳までの医療費無償化や、第3子以降の保育料無償化などの取組も含まれているとの説明がありました。

子育てを支援する制度は、一つひとつの負担軽減につながるとともに、若い世代が十和田市で安心して暮らし、子どもを育てていくための重要な環境づくりです。

制度を充実させるだけでなく、その内容を必要な家庭にわかりやすく届けることも大切だと考えています。

その後、2024年6月議会で学校給食費の無償化を可決

3月議会では、10月からの学校給食費無償化を目指す方針が示されました。

その後、2024年6月の第2回定例会で、同年10月から小中学校の学校給食費を無償化することが可決されました。

これは県と市が進めた子育て支援施策ですが、今回の一般質問を通じて、実施方針や財源、市が既に行っていた負担軽減策について詳しく確認し、市民の皆様にお伝えすることができました。

参考:十和田市議会だより第79号(6月定例会・学校給食費無償化の可決)

今回の一般質問で明らかになったこと、これからの課題

今回の一般質問では、行政DX、温泉事業、学校給食費という3つの分野について、市の現状と今後の方針を確認しました。

行政DXでは、書かない窓口など市民サービスの改善に向けた具体的な予算案を確認するとともに、職員の人材育成やデジタル機器に不慣れな方への支援を求めました。

温泉事業では、多額の調査費用を投じた新規掘削を断念した理由を詳しく確認し、引湯管更新の方法や温泉事業の経営、地域振興との関わりについて課題を明らかにしました。

学校給食費については、県の交付金を活用して無償化を進める方針に加え、市が独自に負担していた食材費や、今後の財源調整の必要性も確認しました。その後、6月議会で無償化が可決されました。

一方、行政のデジタル化による実際の業務改善効果、温泉事業の長期的な経営の安定、学校給食の質の維持など、継続して確認すべき課題も残されています。

限られた財源の中でも、実現できる方法を考える

地域の課題を解決するには、多くの費用が必要になることもあります。しかし、予算が限られているからといって、必要な改善を諦めるわけにはいきません。

今ある制度や施設を有効に活用すること、費用対効果を丁寧に検証すること、国や県の制度を活用することなど、実現のために考えられる方法はあります。

行政のデジタル化も、温泉事業も、子育て支援も、市民の暮らしをよりよくするための取組です。

また、地域の自然や温泉などの資源は、観光客を迎えるためだけでなく、そこで暮らす人々の生活や、将来の移住・定住にも関わっています。

そのため、地域の暮らしと産業の両方を守りながら、未来に希望を持てるまちづくりを進めたいと考えています。

これからも、市民の皆様の声を大切にし、課題を指摘するだけでなく、どうすれば改善できるのか、どのような方法なら実現できるのかを考えながら、市政に取り組んでまいります。

※この記事は、令和6年第1回十和田市議会定例会の一般質問、再質問、市の答弁をもとに作成しています。数値、制度、予算案や事業計画は2024年当時の内容です。学校給食費無償化の可決については、その後の市議会公表資料を確認して追記しました。既存の取組、市が示した今後の方針、議員からの提案を区別して掲載しています。

その後の進展:書かない窓口とセミセルフレジが導入されました

2024年3月議会では、市役所のデジタル化について質問し、市長から、書かない窓口やキャッシュレス対応セミセルフレジの導入に必要な経費を新年度予算案に計上したとの答弁がありました。

その後、市ではこれらのシステムを実際に導入しました。

書かない窓口では、本人確認書類を読み取って住所や氏名などを申請書に印字することで、市民の記入負担を減らしています。また、市民課と税務課にはキャッシュレス決済にも対応したセミセルフレジが設置されています。

デジタル技術の導入が、市民の身近な行政手続の改善につながったことを確認できました。

今後も、デジタル機器に不慣れな方への配慮を大切にしながら、誰もが利用しやすい市役所を目指していきたいと考えています。

参考:セミセルフレジ・書かない窓口を始めました

十和田市議会議員 やまだ洋子

2026年11月