2023年9月定例会 一般質問|地域を支える職員の働き方、十和田湖地区の保育、若者の定住支援

2026年11月2日

人口減少が進む中でも、地域の暮らしを守り、若い世代が希望を持てる十和田市へ

2023年9月の十和田市議会第3回定例会では、「市役所職員の副業」「少子化による保育事業」「奨学金返還支援事業」の3つについて一般質問を行いました。

人口減少が進む地域では、農業や観光などの担い手不足、子どもの減少による保育施設の運営、若い世代の地域外への流出など、さまざまな課題が重なっています。

こうした課題に対して、既存の制度や人材を生かしながら、地域の暮らしを守り、若者が住み続けられる環境を整えることが大切だと考えています。

今回の議会では、市の制度や取組状況を確認するとともに、現場の声を踏まえた具体的な改善を提案しました。

今回の一般質問で明らかになったことと前進

① 市職員の地域貢献と副業の可能性
正職員と会計年度任用職員の副業制度、実際の許可・届出状況を確認し、公務に支障のない範囲で地域の人手不足や担い手不足を支える仕組みを提案しました。

② 少子化による保育環境への影響
就学前児童が5年間で459人減少したことを確認。保育士の処遇改善と、郊外地域でも安心して子育てできる環境の維持を求めました。

③ 十和田湖地区の保育事業の継続
休屋地区の十和田湖保育園について、市から町内会の意見を聞きながら事業継続を支援する方針を確認しました。将来の保育士不足に備えた市の支援も要望しました。

④ 奨学金返還支援の対象拡大による申請増加
市が卒業年度の要件を廃止し、40歳未満を対象とする制度へ見直したことにより、申請者が増加した状況を確認しました。

⑤ 奨学金返還支援の継続について市が検討方針を表明
令和8年度までとされていた事業について、期間延長を求め、市から成果や要望を踏まえて延長を検討するとの答弁がありました。

【一般行政】市職員の知識と経験を地域の力に

1.市職員の副業制度を地域の課題解決につなげられないか

農業や観光、町内会活動など、地域のさまざまな分野で人手不足や担い手不足が課題となっています。

一方、市役所の職員には、それぞれの業務で培った知識や経験があります。こうした力を、職務に支障のない範囲で地域に生かすことができないかと考えました。

例えば、弘前市では、リンゴ収穫期の人手不足に対応するため、一定の条件のもとで市職員による農作業への従事を認める取組が進められていました。

こうした先進事例を踏まえ、十和田市の職員の副業制度と、地域への貢献の可能性について質問しました。

正職員と会計年度任用職員で異なる制度

市の答弁によると、正職員は地方公務員法に基づき、原則として営利企業への従事などが制限されており、例外的に認められる場合にも任命権者の許可が必要です。

許可に当たっては、職務との利害関係がないことや、本来の職務に支障がないことなどが条件とされていました。

一方、短時間勤務の会計年度任用職員については、届出制によって副業を認める仕組みがあることも確認できました。

再質問では、正職員について、統計調査員や公益法人、農業協同組合、町内会などの公共的な業務が、例外的な許可の対象となることも説明されました。

2.実際にどれくらいの職員が副業をしているのか

制度の説明だけでなく、実際にどのような活動が認められているのかを知ることが大切だと考え、許可や届出の人数について再質問しました。

市からは、2023年8月末時点の状況として、次の人数が示されました。

職員の区分 活動内容 人数
正職員 無報酬の会社役員 2人
正職員 農業・不動産業などの自営業 14人
正職員 町内会役員などの報酬を伴う活動 13人
会計年度任用職員 農業・不動産業などの自営業 16人
会計年度任用職員 町内会役員などの報酬を伴う活動 43人

※市の答弁に基づく2023年8月末時点の区分別人数。短期の統計調査員は含みません。

この答弁によって、十和田市でも一定の条件のもと、職員が本来の職務以外の活動に従事している実態を確認できました。

副業を地域貢献と人材育成の機会に

市は、職員の副業について、本来の職務への支障や、公務員としての責任との関係に課題があると説明しました。

こうした点に十分配慮することは当然必要です。

その一方、地域の人手不足に対応するため、市職員が持つ知識や経験を地域に還元することには、意義があると考えています。

議会では、子どもたちのスポーツ活動の指導、観光ガイド、町内会活動、農業への協力など、他自治体の事例も紹介しました。

地域活動に参加することは、職員自身が新たな経験や人脈を得る機会にもなり、その経験を本来の行政業務に生かすことも期待できます。

公務員としての責任を守りながら、地域の課題解決に協力できる働き方について、今後の検討を要望しました。

なお、この質問によって副業制度の対象が拡大したわけではありません。現行制度と実態を明らかにし、地域貢献につながる可能性を提案したものです。

【子育て支援】少子化が進む中でも、安心して子どもを育てられる環境を

3.就学前児童が5年間で459人減少。保育環境への影響を確認

子どもの数が減ることは、保育施設の利用者数や経営にも影響します。

特に人口の少ない地域では、園児が少なくなっても保育士などの確保が必要であり、保育施設の運営が難しくなることが懸念されます。

そこで、十和田市の就学前児童数の推移と、今後の保育事業について質問しました。

市の答弁では、就学前児童数は2018年4月の2,501人から、2023年4月には2,042人となり、5年間で459人減少していることが明らかになりました。

また、市はその後の5年間についても、減少傾向が続くと見込んでいました。

子どもの数が減少すると、保育施設の統合や移転が検討される可能性があります。しかし、保育施設が地域からなくなることは、子育て世帯が住み続けることを難しくする要因にもなります。

施設運営の効率化だけでなく、住んでいる地域によって子育て環境に大きな差が生じないよう考える必要があります。

4.保育士は足りているのか。配置基準と現場の実情を確認

保育施設を維持するためには、保育士の確保と定着も重要です。

市に保育士不足の状況を質問したところ、市内の保育施設では、年間を通じて必要な配置基準を欠くことなく運営しているとの答弁がありました。

一方、実際の保育現場からは、経験豊富な保育士の退職や、長い拘束時間による負担などの声も聞いていました。

配置基準を満たしていることと、経験豊富な職員が十分に確保され、働き続けられる環境が整っていることは、必ずしも同じではありません。

そこで、保育士の処遇改善に関する制度について詳しく再質問しました。

保育士の処遇改善と、働き続けられる職場づくり

市からは、保育士等の処遇改善について、経験年数に応じた賃金改善、研修や技能の向上に応じた加算、継続的な賃金改善を支援する加算の3種類があることが説明されました。

また、市では登園管理などのシステム導入に補助を行い、保育士の業務負担軽減にも取り組んでいるとの答弁がありました。

私は、保育士が長く安心して働くためには、給与面だけでなく、勤務環境や仕事の負担にも目を向けることが大切だと考えています。

議会では、経験豊富な保育士の離職を防ぎ、質の高い保育を維持するため、市独自の補助による処遇改善についても検討するよう要望しました。

保育士の働きやすさを高めることは、子どもたちが安心して過ごせる保育環境につながります。

5.十和田湖地区の保育を守る。休屋地区での事業継続を確認

今回、私が特に取り上げたかったのが、十和田湖畔の休屋地区における保育事業です。

人口が少なく、近隣に保育施設が限られる地域では、子どもを預けられる場所があるかどうかが、子育て世帯の生活に直接関わります。

十和田湖保育園は、休屋町内会や地域の方々の尽力により、2020年度から認可外保育園として運営されていました。

しかし、地域で保育士を確保することは簡単ではなく、安定した雇用環境を整えることにも難しさがあります。

そこで、十和田湖地区託児・学童保育支援事業の今後について質問しました。

市からは、休屋地区の地理的な条件や児童数などを踏まえ、現在の運営体制が望ましいと考えており、町内会などの意見を十分に聞きながら事業の継続を支援するとの答弁がありました。

地域の方々が力を合わせて守ってきた保育事業を、市も継続して支えていくという方針を確認できました。

保育士が不足した場合の支援も必要ではないか

一方、現在の運営体制を継続するだけでは、将来にわたって安定した保育環境を確保できるとは限りません。

休屋地区まで通勤できる保育士を確保することは難しく、今後、職員が不足する可能性も考えられます。

そこで再質問では、保育士が不足した場合、市が保育士を派遣するなど、事業を継続するための支援方法を検討してほしいと要望しました。

また、当時の運営体制では0歳児の受入れができないことにも触れ、子育て環境のさらなる充実を求めました。

これは、市が保育士派遣や市営化を決定したというものではありません。将来の人材不足に備え、具体的な選択肢を提案したものです。

十和田湖地区には、移住して地域で新たな生活を始める若い世代もいます。そうした方々が安心して子どもを育てられることは、移住・定住を進めるうえでも重要です。

人口の少ない地域だからこそ、子育て環境を守ることが、その地域に住み続けられる未来を守ることにつながると考えています。

【移住・定住】奨学金返還支援を、若い世代の定住につなげるために

6.奨学金返還支援の利用状況を確認

奨学金の返還は、社会人になった若い世代にとって、長期間続く経済的な負担となります。

十和田市では、奨学金の返還負担を軽減するとともに、若い世代の市内定住を促すため、2022年度から奨学金返還支援事業を開始していました。

そこで、制度の利用状況と申請方法について質問しました。

年度 人数 補助・申請額
2022年度 13人 51万円
2023年度(8月末時点) 34人 296万9,000円

※2022年度は交付実績、2023年度は8月末までに受け付けた申請数・申請額です。

2023年度は8月末の段階で、前年度の13人を大きく上回る34人が申請していることが確認できました。

また、2022年度の申請者は全員20代でしたが、2023年度は20代が12人、30代が22人となっており、支援を利用する年代にも変化が見られました。

7.申請者が増えた理由を再質問。制度の要件見直しを確認

私は、申請者数が大きく増えている理由について再質問しました。

市からは、事業開始当初に設けていた卒業年度の要件を廃止し、新たに40歳未満という年齢要件を設ける制度改正を行ったことが説明されました。

市民から相談や問合せがあった際、卒業年度の要件に該当せず、支援を受けられない方がいたため、対象を広げる見直しを行ったとのことでした。

この制度改正は今回の質問より前に市が行っていたものですが、再質問によって、見直しの理由と利用状況の変化を明らかにすることができました。

支援制度は、設けるだけでなく、実際に利用したい方が対象となる仕組みであることが重要です。

市民の声をもとに制度の対象が広げられたことは、行政が利用者の実情に合わせて制度を改善した事例だと考えています。

8.申請方法と、利用しやすい制度運用を確認

奨学金返還支援事業を利用するためには、申請書のほか、奨学金を借りたことや返還実績を確認できる書類、就業証明書、市税の納付状況を確認する書類などが必要とされていました。

市の答弁では、2023年度の申請期限は10月31日で、必要書類などに不備がなければ、交付決定と請求を経て、おおむね2週間程度で振り込むとの説明がありました。

また、支援を継続して利用する場合でも、就業状況や納税状況などを確認するため、毎年申請が必要であることを確認しました。

申請手続は利用者にとって負担になることもあるため、丁寧な案内や相談対応によって、必要な支援につなげることが大切です。

9.申請が予算を上回った場合にも、支援を継続できないか

制度の利用者が増えることは、若い世代の経済的負担を軽減するうえで望ましいことです。

一方、申請者数が想定を超えた場合、予算が不足して支援を受けられない方が出ることはないのかという疑問もありました。

そこで、当初予算を上回る申請があった場合の対応について質問しました。

市からは、当時は予算の範囲内であるものの、申請額が予算を上回る可能性も考えられるため、申請状況を見ながら、広く若年世代を支援できるよう検討するとの答弁がありました。

予算の追加が決定したわけではありませんが、利用者が増えた場合にも支援を続けるための対応について、市の考えを確認することができました。

10.令和8年度で終了せず、奨学金返還支援の継続を要望

今回、奨学金返還支援について特に重視したのは、制度を長く続けていくことの必要性です。

奨学金の返還は長期間にわたることが多く、若い世代が地域に定着する効果も、短期間で判断することは難しいと考えています。

当時、十和田市の制度は令和8年度までの実施が予定されていました。

そこで、事業終了を前提とするのではなく、若者の定住促進という目的を踏まえ、制度の期間を延長する考えがないか質問しました。

市からは、今後、事業の成果や有効性を検証し、要望などの状況も踏まえたうえで、期間の延長について検討したいとの答弁がありました。

これは、令和8年度以降の事業継続について、市が検討する考えを示したものです。

制度の延長が決定したわけではありませんが、若い世代への支援を一時的なものにせず、将来にわたって継続する必要性を議会で提起しました。

また、制度を知らない方もいることから、国の財政措置なども活用しながら、より積極的に周知するよう要望しました。

若い世代が地元で働き、暮らし続けたいと思える環境をつくるため、奨学金返還支援のような制度を有効に活用していくことが大切です。

今回の一般質問で残された課題と、今後の取組

今回の一般質問では、人口減少が進む地域の課題に対して、人材、保育環境、若い世代への支援という3つの視点から質問しました。

市職員の副業については、現在の制度や実際の許可状況を確認し、公務に支障のない範囲で地域貢献につなげる可能性を提案しました。

保育事業については、少子化の進行を数字で確認するとともに、保育士の働きやすい環境づくりと、十和田湖地区の保育事業を継続する重要性を訴えました。

奨学金返還支援については、利用者が増えた理由を確認し、予算不足への対応と、令和8年度以降の制度継続について市の検討方針を確認しました。

一方、職員の副業の対象拡大、保育士の派遣や市独自の処遇改善、奨学金返還支援の期間延長などは、今回の議会で実施が決定したものではありません。

今後も、制度の検討状況や実際の改善につながっているかを確認することが必要だと考えています。

人口が少なくても、安心して暮らし続けられる地域へ

人口減少は、地域にさまざまな課題をもたらします。しかし、人口が少ないことを理由に、地域で暮らすために必要な環境を諦めるわけにはいきません。

地域にある人材を生かすこと、子育て世帯が安心して暮らせる環境を守ること、若い世代が地元で働き続けられるよう支援すること。

こうした一つひとつの取組が、地域を将来につないでいく力になると考えています。

特に、十和田湖畔のように人口減少が進む地域では、保育や教育、仕事など、暮らしに必要な環境を守ることが、移住・定住を進めるうえでも欠かせません。

限られた財源の中でも、既存の制度や地域の力を生かし、どうすれば実現できるのかを考え続けることが大切です。

これからも、市民の皆様の声に耳を傾け、子どもたちも若い世代も安心して暮らし、将来に希望を持てる十和田市を目指して取り組んでまいります。

※この記事は、令和5年第3回十和田市議会定例会の一般質問、再質問、市の答弁をもとに作成しています。人数、申請額、制度内容などは2023年当時のものです。既存の制度、市が示した検討方針、議員からの提案を区別して掲載しています。

その後の進展:十和田湖保育園で働く保育士の募集が始まりました

2023年9月議会では、休屋地区での保育士確保の難しさを取り上げ、将来、保育士が不足した場合に、市が人材を派遣するなどの方法を検討してほしいと要望しました。

その後、十和田市では2026年4月から、十和田湖保育園で保育業務を担う地域おこし協力隊員(保育士)2名の募集を始めました。

募集では、保育士資格と勤務経験を持つ方を対象に、休屋地区の保育環境を支えるとともに、地域の魅力や子育て支援の情報発信を行うこととしています。

2023年に取り上げた保育士確保という課題について、市が新たな人材確保の方法に取り組み始めたことは、具体的な進展です。

今後は、実際の採用・配置状況や、地域の保育事業を安定して継続するための体制について確認していきたいと考えています。

参考:十和田市地域おこし協力隊(保育士)募集

その後の進展:若者の奨学金返還支援を継続

2023年9月議会では、奨学金返還支援事業について、申請者の増加や予算の確保、制度の継続を取り上げました。

その後も市は制度を継続し、2026年度には、2025年度中に返還した奨学金の2分の1、上限10万円を補助する事業を実施しています。

2026年度の対象年齢は40歳未満で、就業や市内居住などの条件が定められています。

2023年の議会で要望した令和8年度以降への事業延長については、2027年度以降の実施を確認できていないため、引き続き動向を確認する必要があります。

参考:奨学金返還支援事業補助金

十和田市議会議員 やまだ洋子

2026年11月