2023年3月定例会 一般質問|買い物に困らない地域づくりと、不登校の子どもたちの学び・将来を支えるために

2026年11月2日

買い物に困らない地域づくりと、子どもたちの学びと将来を支えるために

2023年3月の十和田市議会第1回定例会では、「地域商業の活性化と買い物支援」「不登校児童生徒への対応」について一般質問を行いました。

地域の商店が減少する中、車を運転できない高齢者が安心して買い物を続けられること。そして、学校に通うことが難しい子どもたちが、学びの機会や将来への希望を失わないようにすること。

いずれも、人口減少が進む十和田市にとって、暮らしの安心を守るための大切な課題です。

今回の一般質問では、市民や保護者の皆様から伺った声をもとに、市の取組を確認するとともに、具体的な改善策を提案しました。

また、議会で提案したキャッシュレス決済によるポイント還元キャンペーンについては、その後、2025年と2026年に十和田市で実施されました。この記事では、質問当時の状況だけでなく、その後の進展についても紹介します。

今回の一般質問と、その後の進展

① 地域商業を支えるポイント還元事業が、その後実現
2023年3月議会で、PayPayなどによるポイント還元キャンペーンを提案。その後、2025年10月と2026年3月に十和田市で最大20%のポイント還元事業が実施されました。

② 買い物に困る高齢者の声を市政へ
75歳以上の10.7%が買い物の手助けを希望している実態を確認し、複数の店舗を回れる買い物支援バスを提案しました。その後、市では高齢者などの移動負担を軽減する「駒らんパス」も始まりました。

③ 空き店舗を活用した地域商業の振興
新規出店に伴う家賃負担や物件探しの課題を取り上げました。市の空き店舗等活用補助は、その後も継続されています。

④ 不登校の子どもたちの学習機会を確保
学校の相談体制や学習支援について確認し、自宅からも学べるオンライン授業の活用を提案しました。

⑤ 中学校卒業後も途切れない支援を要望
卒業時の進路は把握されている一方、その後の生活状況を継続的に把握することには課題があると確認。教育と福祉が連携する支援体制を求めました。

【地域商業】地域の商店を守り、暮らしの利便性を維持するために

1.地域の商店は、暮らしと人とのつながりを支える存在

人口減少や高齢化、後継者不足などによって、地域の商店を取り巻く環境は厳しくなっています。

地域に根づいた商店は、買い物の場所であるだけでなく、防犯活動や町内会活動、消防団活動など、地域を支える役割も担ってきました。

特に、高齢者や運転免許証を返納した方にとって、身近に買い物ができる店舗があることは、安心して暮らし続けるために欠かせません。

そこで、市内小売店舗の現状と、商業の活性化に向けた支援策について質問しました。

市からは、商店街地区の空き店舗数は2020年度と2021年度がそれぞれ40か所、2022年度が37か所であったとの説明がありました。

また、中心市街地活性化に向けて、まちなか交通広場や地域交流センターの整備、市街地循環バスの運行、空き店舗を活用した創業支援などに取り組んでいることが説明されました。

2.空き店舗への出店を後押しする支援の充実を

市では、空き店舗などを利用して新たに事業を始める方に対し、改修費用などの一部を補助する制度を設けていました。

2022年度は、2023年1月末時点で10件、879万6,000円の補助実績があるとの答弁でした。

一方、出店を希望しても、家賃の高さや物件所有者との交渉がまとまらないことなどが課題となっているとの声がありました。

そこで、行政や商工会議所などが、空き店舗の所有者と出店希望者をつなぐ役割を担えないかと提案しました。

市からは、家賃交渉は貸主と借主の契約事項であるため行政が仲介することは難しいものの、空き店舗情報の公開や創業相談、既存の補助制度を継続する考えが示されました。

私は、地域商業の振興には、単に空き店舗を減らすだけでなく、出店したい人が挑戦しやすい環境を整えることが大切だと考えています。

その後の進展:2026年度も空き店舗等活用補助を継続

その後も十和田市では、空き店舗や空き事務所、空き家を活用して新たに事業を始める方への補助制度を継続しています。

2026年度の制度では、対象となる改修等の経費に対して、補助上限額100万円、補助率は原則2分の1、指定された商店街地区では3分の2とされています。

この補助制度は2023年の質問以前から実施されていたものですが、地域の創業を支える取組として現在も継続されています。

今後は、新たな出店の件数だけでなく、事業の継続や地域のにぎわいにどのようにつながっているのかを確認することも大切だと考えています。

【買い物支援】車を運転できなくても、安心して暮らせる地域へ

3.75歳以上の10.7%が買い物の手助けを希望

高齢者の買い物問題は、過疎地域や山間部だけの課題ではありません。

市街地に住んでいても、重い荷物を持って歩くことが難しい方や、近くの店舗が減ったことで買い物に困る方がいます。

そこで、高齢者の買い物に関する困り事を市がどのように把握し、支援しているのか質問しました。

市からは、2019年の「健康とくらしの調査」で、買い物の手助けを希望する方は全体の6.8%、75歳以上では10.7%であったとの答弁がありました。

また、生活上の困り事がある場合、有償の生活支援サービスについて「高額でなければ利用する」と回答した方は48.2%でした。

買い物に出かけることは、生活必需品を購入するだけでなく、外出や人との交流、楽しみの機会にもつながります。

高齢になっても、日常の買い物を楽しめる環境づくりが必要だと考えています。

4.買い物支援バスを提案。利用者の実情に合った交通を

十和田市では、市街地循環バスや西地区シャトルバスなどを運行し、高齢者などの移動手段の確保に取り組んでいました。

しかし、公共交通が運行していても、買い物に十分利用できるとは限りません。

高齢者の方からは、買い物をした後に重い荷物を持って歩くことや、複数の店舗を回るためにバスを乗り継ぐことが大変だという声がありました。

そこで、休屋地区などの市街地から遠い地域も含め、月に1回、2回でも複数の店舗で買い物ができるバスを運行できないかと質問しました。

市からは、当時、買い物支援に特化したバス事業は検討していないものの、新たな地域公共交通計画の中で、幅広い移動需要にどう対応できるか検討していくとの答弁がありました。

私は、バスを運行しているというだけでなく、実際に買い物に困っている方が利用しやすい仕組みを考えることが大切だと思っています。

買い物支援は、交通政策だけでなく、高齢者の健康づくりや社会参加、地域の商業振興にも関わる課題です。

その後の進展:高齢者等の運賃負担を軽減する「駒らんパス」

2024年4月からは、高齢者など日常生活の移動に困難を抱える方を対象とした、運賃無料乗車証「駒らんパス」の制度が始まりました。

市街地循環バス、東地区シャトルバス、西地区シャトルバスで利用でき、対象者の移動に伴う経済的な負担を軽減する仕組みです。

これは2023年の議会で提案した買い物専用バスとは異なる制度ですが、高齢者などが外出しやすい環境づくりに向けた取組の一つです。

一方、バス停までの距離や運行本数、買い物後の荷物の運搬など、運賃無料化だけでは解決できない課題もあります。

今後も、住んでいる地域によって買い物のしやすさに大きな差が生じないよう、市民の声を聞きながら改善を求めていきたいと思います。

【地域経済】議会で提案したポイント還元キャンペーンが、その後実現

5.市民の家計と地元商店の双方を支える施策として提案

2023年3月議会では、物価や燃料費の高騰などにより、市民生活や地域の商店の経営に負担が生じていることを踏まえ、PayPayなどのキャッシュレス決済を活用したポイント還元キャンペーンを提案しました。

対象店舗で買い物をすると、購入額に応じてポイントが還元される仕組みで、市民の負担軽減と地元店舗への消費促進を両立できる可能性があります。

議会では、岩手県二戸市や花巻市などの先進事例を紹介し、市内の中小・小規模事業者への支援策として導入できないかと質問しました。

当時、市からは、キャッシュレス決済に対応する店舗がまだ少ないため、導入状況や実施への機運を踏まえて判断したいとの答弁がありました。

私は、地元店舗で買い物をするきっかけを増やし、市民と事業者の双方に役立つ施策として、今後の導入を要望しました。

その後の進展:2025年10月に初めて実施。利用が想定を上回る

その後、十和田市では、2025年10月に「十和田市を笑顔に!PayPay利用で最大20%戻ってくるキャンペーン」を実施しました。

市内の指定された対象店舗でPayPayを利用すると、最大20%のポイントが還元される事業です。

当初は10月31日までの予定でしたが、利用が想定を上回り、ポイント付与額が予定した上限に達する見込みとなったため、10月19日に前倒しして終了しました。

この早期終了は、事業に対して当初の想定を上回る利用があったことを示しています。

また、初回の実施時には、スマートフォンやキャッシュレス決済の使い方に不慣れな方を対象とした講習会や相談会も案内されました。

2023年の議会でも高齢者の利用に伴う課題を取り上げていたことから、こうした利用支援が用意された点も大切な取組だと考えています。

2026年3月には第2弾を実施

さらに、2026年3月1日から31日まで、第2弾となる最大20%のPayPayポイント還元キャンペーンが実施されました。

市内の対象店舗で利用できるもので、2025年10月に続く2回目の取組となりました。

2023年3月議会で具体的な方法を紹介し、導入を提案した施策と同種のポイント還元事業が、その後、十和田市で実際に行われたことは、議会活動の経過としてお伝えしたいことの一つです。

この事業は市が物価高騰対策として実施したものであり、私の質問だけによって導入が決定したというものではありません。

しかし、他自治体の事例を研究し、十和田市でも実現できる施策として早い段階から提案していたことには意味があると考えています。

今後は、キャンペーンによって地元店舗での買い物がどれだけ増えたのか、参加店舗や利用者にどのような効果があったのかを確認していくことが大切です。

【教育行政】不登校の子どもたちが安心して学べる環境づくり

6.不登校の未然防止と、子どもの気持ちに寄り添う初期対応

不登校の背景は一人ひとり異なり、学習への不安、心身の不調、人間関係など、さまざまな事情が関わる場合があります。

大切なのは、学校に行けなくなってから対応するだけでなく、子どもが悩みを抱え始めたときに、安心して相談できる環境を整えることです。

そこで、不登校を未然に防ぐための取組や初期対応について質問しました。

市からは、児童生徒が安心して学校生活を送れるよう、わかる授業づくり、個に応じた学習指導、学校行事を通じた居場所づくりや人間関係づくりに取り組んでいるとの説明がありました。

また、欠席が続く場合には家庭訪問などを通じて状況を把握し、スクールカウンセラーや教育相談員、市教育相談室などにつなぐ体制があることを確認しました。

私は、本人や保護者が安心して相談できること、学校の働きかけが負担にならないことなど、一人ひとりの状況に応じた丁寧な支援が必要だと考えています。

7.学校に通えなくても、学ぶ機会を失わないために

学校へ通うことが難しい子どもたちの中にも、学びたいという気持ちを持っている子どもがいます。

そこで、不登校児童生徒への学習支援について質問しました。

市からは、校内の学習室や教育相談室での個別学習、ワークシートによる指導、デジタルドリルの活用などについて説明がありました。

また、学校に登校できなくても、市教育研修センター内の「若駒学習室」に通える場合は、学習計画を作成し、外部講師や教育相談員による学習支援を行っているとのことでした。

教育委員会は、単に学校復帰を目指すだけではなく、長期的な社会的自立につながるよう支援していく考えを示しました。

8.自宅で受けられるオンライン授業の活用を提案

再質問では、自宅からでも学習に参加できるオンライン授業について取り上げました。

保護者の方からは、子どもがほとんど自宅で過ごしており、学習の場へ通うこと自体が難しいという話も伺っていました。

そのような場合でも、授業を視聴したり、先生や学校とのつながりを感じられたりすることが、次の一歩につながる可能性があります。

そこで、青森市などの先進事例を紹介し、十和田市でもオンラインによる学習支援を取り入れられないか質問しました。

市からは、若駒学習室で試験的にオンライン授業を行った事例がある一方、当時、不登校児童生徒の自宅と学校を結ぶオンライン授業は行っていないとの答弁がありました。

また、通信環境が整えば技術的には可能ですが、本人や保護者、学校が十分に話し合い、学習支援としての方法や内容を検討する必要があるとの説明でした。

私は、オンライン授業だけですべてを解決できるとは考えていません。しかし、学び方の選択肢を増やし、子どもが自分に合った方法で学び続けられる環境づくりには意味があると考えています。

そのため、先進事例の効果を確かめながら、自宅での学習支援も検討するよう要望しました。

【卒業後の支援】義務教育が終わっても、相談できる環境を

9.卒業後の進路や生活状況をどこまで把握しているのか

不登校の子どもたちや保護者にとって、大きな不安の一つが、中学校卒業後の進路や生活です。

高校へ進学する子どももいれば、通信制の学校で学ぶ子ども、自宅で過ごす時間が続く子どもなど、卒業後の状況はさまざまです。

そこで、中学校卒業後の進路や、その後の生活状況を市が把握しているのかと質問しました。

市からは、卒業時の進路については学校で調査しているものの、その後の状況については、一人ひとり継続して把握できていない場合があるとの説明がありました。

卒業時の進路が決まっても、その後の生活や社会とのつながりに困難を抱える場合があります。

そのため、学校を卒業した後も、必要な支援につながる仕組みが重要ではないかと考えています。

10.教育と福祉の連携による、途切れない支援を要望

市は、卒業後に本人から教育相談室「トワハート」へ相談があった場合には、丁寧に話を聞き、必要に応じて関係機関につないでいると説明しました。

私は、卒業後も自宅で過ごす時間が長く、社会との関わりが難しい子どもたちがいることを踏まえ、教育委員会だけでなく、健康福祉部門などと連携した長期的な支援体制を求めました。

不登校への支援は、学校へ戻ることだけを目標にするものではありません。

子どもが自分に合った学び方や生活の形を見つけ、将来、社会とのつながりを持ちながら自立していくことが大切です。

義務教育が終わったから支援が途切れるのではなく、必要なときに相談でき、次の支援につながる体制づくりを要望しました。

その後の進展:相談と学習支援の体制を継続

十和田市では、その後も教育相談室「トワハート」と教育支援室「わかこま」による支援を継続しています。

2024年4月には、従来の「若駒学習室」が「わかこま」に名称変更されました。

市が公表している案内では、「トワハート」が子どもや保護者、教職員の相談に対応し、「わかこま」が登校できない児童生徒の学習機会の確保と、一人ひとりに応じた社会的自立に向けた支援を行っています。

一方、2023年に提案した自宅でのオンライン授業の本格導入や、卒業後の生活状況を継続して把握する仕組みについては、今回確認した公表資料だけでは実現を判断できません。

これからも、相談につながりにくい子どもたちにも目を向け、一人ひとりの状況に応じた学びと社会的自立を支える環境づくりを求めていきます。

今回の一般質問と、その後の取組を振り返って

2023年3月議会では、地域商業の活性化、買い物に困る方への支援、不登校児童生徒の学習機会と卒業後の支援について取り上げました。

その後、議会で提案したキャッシュレス決済によるポイント還元キャンペーンと同種の事業が、2025年10月と2026年3月に十和田市でも実施されました。

また、高齢者などを対象とする「駒らんパス」の導入や、空き店舗を活用した創業支援の継続など、暮らしや地域商業を支える取組も進められています。

一方、買い物に特化した移動手段の確保や、不登校の子どもたちが自宅から学べる仕組み、卒業後の途切れない支援など、引き続き取り組む必要がある課題もあります。

私は、議会で提案するだけでなく、その後、市の施策がどのように変わったのか、市民の暮らしが実際にどのように改善されたのかを確認することが重要だと考えています。

人口が減っても、暮らしと学びの機会を守る十和田市へ

人口減少が進む中で、地域の商店や交通手段、子どもたちの学習環境を維持していくことは簡単ではありません。

しかし、地域で安心して暮らすために必要な支援を、人口が少ないことや予算が限られていることだけを理由に諦めたくはありません。

今ある制度や施設を活用すること、他の自治体の取組を参考にすること、地域の事業者や住民が協力できる仕組みを考えることなど、実現に向けてできることはあります。

高齢者が安心して買い物に出かけられること。地域の商店が活力を取り戻すこと。そして、学校に通うことが難しい子どもたちにも、一人ひとりに合った学びと将来への道があること。

これからも市民の皆様の声を大切にし、限られた財源の中でも実現できる方法を考えながら、誰もが安心して暮らし、未来に希望を持てる十和田市を目指して取り組んでまいります。

※この記事は、令和5年第1回十和田市議会定例会の一般質問と市の答弁をもとに作成し、2026年11月時点で確認できたその後の施策を追記しています。2023年当時の質問、市が既に実施していた施策、その後の新たな取組を区別して掲載しています。

十和田市議会議員 やまだ洋子

2026年11月更新